雲海黄山雨晴　８面のポストカード 雲海黄山雨晴 1984年（昭和59年）後藤純男54歳 5月　初の本格的個展を開催し、本作も出品された。 8月　大腸潰瘍のため出血多量となるが、一命をとりとめる。 「それまで日本で描いていた時は、実際のところ修行僧のような行者のような気持ちだった。小さい時から寒気に耐える、厳しい生活に打ち勝つ、それが自分の生き方で、絵を描くのにも、自分の厳しいもので縛ろうとしていた。緊張が、だからいつでもあった。しかし、中国の事物、風景、大自然に接すると、その自縛が無くなっている。開放された気持ちで眺められる。だから中国に取材した制作は、解放感で描くことができた。」後藤純男 古来水墨画に描かれた黄山の偉容が、画面右から左にかけて雨があがってゆく天候の変化を追って描かれている。巨大な絵巻物のように、一連の時の流れを一続きの長大な画面に描いたこの作品は、写実的な技法を用いながら、東洋的精神性を表しているといえよう。